石原知事記者会見

平成19年6月14日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年6月8日(金)
15:01〜15:20

知事冒頭発言

1.「緑の東京10年プロジェクト」基本方針の策定について

【知事】冒頭、2つほど私から申し上げることがあります。

 第1は、例の「10年後の東京」の中でうたっております東京の緑化の問題。「緑の東京の10年プロジェクト」の基本方針でありますけども、東京都は「10年後の東京」を実現する方策の1つとして、「緑の東京10年プロジェクト」を推進しておりまして、このたび全庁横断型の戦略的取組によってその基本方針を策定しました。この方針に基づいて、緑あふれる東京の再生を目指していきたいと思っています。

 これは、都だけでなくて、都民、企業を巻き込んだ広範な取組が必要でありまして、その第1歩として、廃棄物の島を緑の島に生まれ変わらせる。これをごらんになるとわかると思いますけれども、(パネル提示)今やってる最中ですかね、これが完成したときに、その上に緑を植えて、全島、ごみの島を緑の島に生まれ変わらせて、東京湾から都心に向かう風の道をつくり出していきたい。このために、中央防波堤の内側処分場に、緑の「海の森」を本格的に整備をします。

 来月にはキックオフイベントを行いますけど、これに合わせて「海の森」の募金をスタートさせるつもりでいます。今年の秋には、より広範囲に緑化を進めるために、「海の森」の募金を新たに緑化募金に拡大するとともに、文化、スポーツイベントとタイアップして、一層深く募金を進めていくなど、従来の行政の枠を越えた新しい発想で、緑のムーブメントを展開していきたいと思っています。都民あるいは企業の皆さんには、緑のあふれる東京の再生に向けた募金とムーブメントにご協力をよろしくお願いしたいと思ってます。

 さらに、「10年後の東京」で表明しております都内の街路樹を100万本に倍増、これの達成のために、今後4年間でおおむね70万本までふやしていきたいと思ってます。また、校庭の芝生化や都市空間すき間緑化などを着実に進めて、「10年後の東京」の目標を達成していきます。

 詳細については、この後、関係局から説明させます。

2.「子育て応援戦略会議」及び「建物の耐震化推進会議」の設置について

【知事】もう1つ、子育て応援戦略ですね、それともう1つ、建物の耐震化推進。この2つのプロジェクトのための会議を設置します。これは、2つとも全庁横断的な戦略会議として、「10年後の東京」に掲げた政策の実現のために、施策の具体化に取り組んでいきます。

 前者、子育て応援戦略会議は、山口(一久)副知事を座長として、子育て応援戦略会議として13日に設置します。子育ての支援に関しては、待機児童5000人の解消や、子育てと仕事が両立できる雇用環境の整備などの実現について、課題は広範囲にわたっております。戦略会議の設置により、組織の垣根を越えて、「働き方の見直しの推進」や「子育て支援サービスの改革」、「子育てに優しい環境づくり」について重点的に取り組んで、社会全体で子どもと子育て家庭を支援する取り組みを強力に推進していきたいと思っています。

 なお、余談ですけどね、これに関係あるんですが、例の認証保育所もね、厚労省の頭がかたくて、あれが本当に国が認可する保育所になれば、国からの援助も随分違ってくるんですけどね。そういうことで、なかなか国が動かないんで、先般、経団連の御手洗さん(御手洗冨士夫 日本経済団体連合会会長)と商工会議所の会頭の山口さん(山口信夫 日本商工会議所、東京商工会議所会頭)に、ぜひあなた方自身の目で見て、現場を確かめていただいて、なぜこれを、東京という特殊な事情の中で、これだけの事情があって、さらに増えつつあるのに、国は正式な機関として認めないのか。そういう意味の圧力を、建言を、経済界からもしてもらおうと思いましてね。近々、お二人と同道して、私も認証保育所を案内しますが、そのプログラムもできております。

 もう1つは、菅原(秀夫)副知事を座長とする「10年後の東京を目指した建物の耐震化推進会議」です。これは29日に設置いたします。

 建物の耐震化は首都東京の喫緊の課題でありまして、「10年後の東京」では、地震がこわくない東京をつくるために、緊急輸送道路沿道の建物や小中学校、病院、消防署など、防災上重要な建物の100%耐震化と、住宅の9割以上の耐震化を目標に掲げたプロジェクトを構えていますけれども、この実現に向けて、推進会議の設置によって、庁内の力を結集して、区市町村や民間事業者、都民の皆さんと一緒になって、建物の耐震化に集中的に取り組んでいきたいと思ってます。

 今後ともこのような戦略会議を活用して、「10年後の東京」で示した都市戦略の実現に向けた取り組みを加速させていきたいと思っております。

 私から申し上げることは以上であります。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】コムスンの関係ですが、一連の不正は、そもそも東京都の監査がきっかけになって発覚したわけですけれども、厚生労働省の処分が出てからすぐにコムスンのほうが事業の譲渡を発表するというような事態になってますが、こういうやり方について、知事はどんなふうにお考えでしょうか。

【知事】これはね、一応今の法律の限りでは合法なんでしょう。しかし、それはやっぱりね、いかにも道義にもとるということで、国側の一種の行政処分というんでしょうか、そういう形で規制するようですけどね。

 これからもね、こういう仕事のニーズがふえていくんでしょうから、同じような手抜きをやってはばからない企業も出てこないとも限らないので、やっぱりきちっとした法律の整備を、これをきっかけにしてもらいたいですね、国に。

【記者】事業譲渡ができるかできないかは、まだちょっと国が凍結を求めたりしてますけれども、その辺、もし仮に事業譲渡をしてコムスンが別の会社になったとした場合、指定の届け出というのは、都としてはどういうふうに対処されるんでしょうか。

【知事】ですから、これはだからね、法律というものがもともと基本にあるわけですからね、国がつまり凍結という形をどこまで維持してどういう指導をするか、これを待たなければ、その先のことを考えて東京が白黒言うべき問題じゃないと思いますけども。やっぱりね、こういう仕事のニーズがふえたというところに問題の火種があるわけで、つまりこれが看過されると、またこういった問題が出てくると思いますね。ですからね、今やっぱり国がきちっと、こういう高齢化社会に備えて法の整備というものをやってもらいたいと思います。それは国の責任だと思いますよ。

【記者】先日来ちょっと何度かお話に出ておりますが、参議院の議員宿舎の問題、紀尾井町に新しいのをつくるという問題なんですが、今日、一部の住民のほうから、都に建設差し止めを求める訴えを起こしたというふうに聞いております。その反対住民のほうから、環境を守ってほしい、止められるのは石原知事だけなんですというようなことも言っておられるようなんですが、改めてこの建設問題について知事はどのようにお考えでしょうか。

【知事】いや、これは訴状を見てみないと何とも言えませんね。

 それからね、一方では、要するに賛成の人もいるわけでしてね、反対する人の、要するに環境に関する関心はどこにあるか。建物ができれば自分の家に日が当たらなくなるということなら、これも一種の環境問題かもしらんけど、これはやっぱり公共性は持たないわね。ですから、やっぱりいろんな意見を聴取しなくちゃいけませんけど、いずれにしろ訴訟ということになれば、訴状を見なければ東京の判断ができませんので、まだ訴状を見ておりませんから、今の限り、何とも申し上げられません。

【記者】先ほどのコムスンの関係なんですけども、利用者の数が六万数千人にも上るといわれている中で、仮に介護難民とかが出た場合に、都としては、今後の対応については何かご検討されているものがあれば教えてもらいたいのですが。

【知事】この間もちょうど会議したんですけど、やっぱり他の同業もあるわけですから、そこへうまく被介護者というもののシフトができないか、そういうことも含めて考えてますけども。まあやっぱり数が非常に多いですからね。いわゆるそういう業界では大手だっただけに、こっちも非常に困惑してますよ。

【記者】あと、別の話題で恐縮なんですけども、首都圏の水がめがちょっとピンチといいますか、平年に比べると8割しか貯水量がなくて、このまま梅雨の時期に雨が少ないと、取水制限も考えなければならないという状況なんですけども、これについて。

【知事】まあ君も一緒に雨乞いしてくれよ、もう。(笑)そんなこと聞かれたって、わからんよ、おれは。気象庁じゃないんだし。雨を期待するしかないじゃないか。

【記者】水の利用をちょっと…。

【知事】ですから、もう少し進んで、これから梅雨が本格的に来るわけだから、そのときの雨量を見て、それを踏まえてのことでしょう。あまり危機感をあおらんでくれよ、ほんとにもう。

【記者】先週もちょっとお伺いして、今日は視点を変えたいんですけども、年金の問題なんですけども、都としてどうのこうのというわけじゃないんですけれども、またいろんな不備が明らかになってきて、番組やなんかにリスナーから受け付けたりすると、やっていることが、言い方が悪いんですけども、お役所仕事、役人仕事みたいな形で、これでいいやとか、この程度でいいんじゃないかみたいなことが積み重なってこういう問題が起きているんじゃないかという声も結構リスナーから届いたりするんですけれども、知事、議員時代からも含めて、そういうお役人の方たちと長らく仕事をされてて、そういう部分というのはどうしてもなくならないものなのか、あるいは…。

【知事】この問題でね、みんな触れたがらないんだけどね、あそこの労組というのは本当に考え方が間違っていると思うね。とにかくコンピュータ化にこれだけ反対した組合ってないんだから。それに押し切られて、つまり変な合意書もできているわけですよ。

 例えばね、コンピュータを使わずに仕事してくたびれるから、1時間(45分)仕事したら15分休むとかね。こんなばかな合意をだね、要するに責任者と取り交わして、しかも一方では、この時代にコンピュータ化に反対するような組合って、そこらの、代々木にいるあの政党と同じ、何でもかんでも反対で、こういう文明が技術的に進んでいるときにだね、その文明のツールを、とにかくあえて使わないで、それをとにかく反対する組合ってものがこういう混乱をもたらしたんですよ。これ、ぴしっとコンピュータ化したら、こんなことにならなかったんだ。

 だれがそれを指導したか知らないよ。だけどね、本当に論外だと思いますな、これは本当に。そういう認識も国民は持ってもらいたいね。安倍(晋三)総理は気の毒だと思うよ、この時期になってこんなのがあって。

【記者】冒頭で東京の緑化についてのお話もありましたけれども、ドイツのハイリゲンダム・サミットで、2050年までに温暖化ガスの排出量を半減させることを検討するとした合意については、どのように評価されますでしょうか。

【知事】結構じゃないですか。ただやっぱり、そこに出ているプーチン(ウラジーミル・プーチン ロシア連邦大統領)とかブッシュ(ジョージ・ブッシュ 米国大統領)とかね、特にブッシュはだね、彼の政府そのものは京都議定書に参加も批准もしてないんですからね。ブッシュがどんな心情でそういう提案に賛成したのか知りませんけどね。私、この間も申し上げたけどね、ニューヨークであった会議で、ジョイント・コミュニケ(共同声明)は非常に生ぬるいので、僕はリビングストン(ケン・リビングストン ロンドン市長)に、「なんでこれ、とにかくアメリカと、要するにブルームバーグ(マイケル・ブルームバーグ ニューヨーク市長)、君の主宰地のアメリカで、ワシントンは反対しているんじゃないか、この問題に。なんで要するに参加を呼びかけるようなコミュニケにしないんだ」。それから中国と、それからブラジルでしょうね。ところがね、うにゃうにゃやっているうちに、なんかとにかくネグられてしまってだね、コミュニケというのは間が抜けたものでしたよ。だからね、そういう、何ていうのかな、年に1度のサミット、大事な会合で、各国の首脳が、一応そういう問題に対してあるアイデンティティーを持ったんでしょうね。反対したところがいなかったらしいんだから。大変結構なことだと思いますよ。

 しかし、先ほどもね、星出君(星出彰彦:宇宙飛行士)という、今度宇宙ステーションで働く宇宙飛行士があいさつに来られていろいろ話したんですがね。ああいうところから撮った地球の表面の変化というものを、もっとどんどん発表したらいいんだ。そうすると、みんながやっぱり危機感を持ってきますよ。それは国によっては本当に認識も違うしね。アメリカなんか図体が大きいから、まだ大丈夫だ、大丈夫だと思っているかもしらぬけどね。ブラジルはブラジルで、またほかのアマゾンの問題があってね。木切り過ぎて、結局非常に責任ある国になってしまったんだけど、ともかく、ものにも書きましたがね、この間も言ったけども、ホーキング(S・W・ホーキング:物理学者)が言ったように、宇宙全体の時間からすると本当に瞬間に近い形でこの地球というのは自滅していきかねないところまで来たんじゃないのかな。

 一時期、不思議なことに、終末思想ってはやってね、雑誌まで出たことあったね。倒れちゃったけど、野坂昭如(作家)なんかがしきりに言っていたけど、あのころはその信憑性、つまり彼の予見性があったのかもしらないけども、あれ、一時期はやったけど、フワッと消えちゃったんですが、やっぱり21世紀に入ってね、その問題がもうはっきり顕在化してきた。どこの国も異常気象に見舞われている、そういった事実というものを重ねて眺め直すと、かなりのところまで地球は危機にさらされているんじゃないか。それに対してサミットも、ああいう合意を持ったということは、大変結構なことだと思いますけど。あとどれだけ実際にやるかということだよな。

【記者】台湾の李登輝さん(台湾前総統)が、昨日、靖国神社のほうを参拝されました。それについて中国がかなり強烈な不満というのを示しているということなんですけれども。

【知事】どういうふうに不満を示しているの?

【記者】日本との歴史的な問題として、その辺のことを問題視しているということなんですけれども。

【知事】どう問題視しているのよ?

【記者】歴史的な問題ということで、あと政治的な問題ということで。

【知事】あの人は私人として行ったんじゃないですか。しかも、お兄さんがあそこに祀られているんだから、お兄さんに会いに行くって。それは個人の心情として妥当なことじゃないですか。それをことさら政治化してものを言う国のほうが私はおかしいと思うね。そう言ってやってくれよ、君のほうからも。

【記者】コムスンの折口(雅博)会長が同時刻に別の場所で会見をやっておりまして、今ちょっと情報が入ってきたんですけども、折口会長は会見の冒頭で「ご迷惑をおかけして申しわけない。脱法行為といわれるが、そのつもりはなく、客へのサービス継続と従業員の雇用のためにシルバーサービスに事業譲渡した」と、こういう発言があったんですけれども。

【知事】いや、それじゃ済まないと思うよ。要するに手抜きの仕事をしてたわけでしょう。それをとがめられて、自分の系列にその仕事を移転してもだね、それは介護を受ける人間にしたら、要するに全然違う会社が違う意識を持ってやるならともかくも、系列の会社が引き受けたって、また同じことじゃないかという不安はあるでしょう。我々だって、やっぱり監督者としてそういう不安がありますよ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)