石原知事記者会見

平成19年5月17日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年5月11日(金)
15:16〜15:45

知事冒頭発言

【知事】遅くなってすみません。私から冒頭申し上げることは、ございません。質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】菅(義偉)総務大臣が提唱されましたふるさと納税という議論が浮上しておりますが、知事はこれについてどうお考えでしょうか。

【知事】ふるさと納税なるもののまだ詳細を存じていませんがね、地方税ということで考えるのはおかしいね。住んでいるところで、やっぱりいろんな行政の利益を応益している人が住民税を払うわけですからね。自分が生まれて、それから人によっては転々とする人もいるでしょうし、遠く離れたところに長いこと住んでいる人もいるでしょうけどね。つまり、何をもってふるさととするかというのは、人間のセンチメント(感情)の問題で、法律で決められる問題ではないし、それが税金で、住民税という形で払うのは、極めておかしいですな。

【記者】その主張を、対抗手段といいましょうか、具体的な行動として何か考えられている部分というのは、今のところございますか。

【知事】ありません。もっと他にいろんな問題が出てきそうですからね。それに対する対抗手段を考えていますけども、そのふるさと納税というのは聞こえはいいけどね、税の体系としたらナンセンスだと思うね。

【記者】別の問題というのは、法人2税の問題であるとか。

【知事】そうですね。それから法人2税、そうですね。それから、またいろんな問題が出てくるでしょう。菅大臣が言っていることと、それから、どういうのかな、尾身大臣(尾身幸次財務大臣)が言っていることとかなり違う部分もあるけど、東京に対する収奪というのかしら、我々はそうとしかとれませんがね。いずれにしろ、税の、税収の上での格差というのはあるでしょう。しかし、それをもってそのまま財政上の格差とは言えませんよ。すべき努力を東京と同じようにしたの?要するに格差を唱えている各自治体が、例えば人員の整理をしましたか。歳費(歳出)の節減をしましたか。国だってやっていないじゃないの、あなた。それでね、すべき努力も内部努力もしないで。東京は必死になってやってきたよ。2万人、人を減らし、8,000億、歳出を切りましたよ。そういうこともしないでね、それで生じてきた財政上の格差をね、東京は富裕だ、富裕だ、と自分たちはピンチだと言って、それをそのまま税収というものになぞらえて、差がある、あるというのは、私は非常に乱暴な論だと思います。そこら辺のところをあなたははっきり考えた方がいいね。

【記者】すみません、今のふるさと納税制度のことで関連してなんですけど、今度の参院選に向けて自民党さんの方で、公約に掲げたいという方針を掲げているようなんですが、それについて自民党に異議を申し立てるとか、その辺、そういった考えはおありでしょうか。

【知事】具体的に出てきたら私は私で反論しますがね。まだ詳細は知りませんから。

【記者】2つあるのですけれども、まず最初が参院清水谷宿舎の移転問題について、都の風致地区への移転が計画されていますが。

【知事】お宅は随分先走った報道をしているよ。全くそんなものはですね、都としては判断していないし、許可もしておりません。詳細も聞いておりません。あまりフライングしない方がいいよ。人騒がせで。

【記者】都は、要するに民間による自主的緑化部会とかを立ち上げて、緑化に熱心に…。

【知事】ちょっとよく聞こえない。もっとはっきり言ってください。

【記者】緑化を進めていこうとしていると思うんですけども、今後都が国に対して大幅な変更を求める可能性はありますか。

【知事】いや、だからそのプランの詳細は聞いておりません、まだ。それについて、都も判断する討論もしておりません。しかし、一部の地権者では、何かがら空きになっていて物騒だから、しかるべきものを建ててくれという要望もあるように聞いていますけどね。

【記者】2つ目の質問ですが、新島と神津島で、都の職員に対する官官接待の問題が判明しました。その中で神津島の村長さんが、知事に対してお歳暮にイセエビを贈ったというふうに話しているのですけれども、知事は神津島の村長からイセエビをもらっていますか。また、公費でそれを買ったというのを知っていましたか。

【知事】公費で向こうが買ったかどうかは知りませんけどね、時々、何というのかな、東京名産の農産物とか魚をいただいたりしますがね。まあいちいち誰から何が届いたか覚えてもいないし、たくさん頂いたときには秘書室で分けてもいるしだね、たくさんお魚をもらってもとても食べきれるものじゃないし、人に差し上げたこともありますけども。

【記者】そうすると、もらったイセエビはお返しはしていないということですか。

【知事】はあ?

【記者】返却するという…。

【知事】いや、もらったかどうかは覚えていないね、それは。

【記者】返すということはありますか。

【知事】何が返すの。

【記者】もらったものを返す。お歳暮にもらったものを返すという…。

【知事】だって、お歳暮というのは悪い習慣じゃないんじゃないの。あまりそんなことに目くじら立てない方がいいよ。

【記者】食べたかどうか、覚えていないですか。

【知事】覚えていないね。

【記者】わかりました。

【知事】それから、うちだって家内と私しかいませんから、一々生のものをもらっても料理もできないしね。

【記者】3人の副知事が刷新され、新体制がスタートしましたが、何を重点的に進めていきたいとお考えでしょうか。

【知事】いや、何もかにもじゃないですね。去年の暮れに発表したワンディケード、10年先の東京の設計図があるわけですからね。それを実現していくために私は3選されたわけです。この4年間はその基礎づくりをしていく、それを着実にコンクリートを打っていくということですな。

【記者】すみません、関連してなんですが、4人目の副知事の人選の進捗状況はいかがでしょうか。

【知事】これはなかなか難航していますね。これからやっぱり国と正面衝突して、けんかをすることが出てくるかもしらんけど、私よりも明晰で、論の立って、説得性のある、そういう論客を、しかも政府に非常に影響力のあるような人物を探していますけども。

【記者】先ほどのふるさと納税の件に戻ってしまうのですが、全国知事会の方でも、国に対して提案する地方税制改革原案の中に、このふるさと納税を検討すべきだという意見があるようなんですけども、知事会の中で知事がご意見を言うような機会はあるでしょうか。18日に決定するという話もあるようなんですが。

【知事】全国知事会で?

【記者】はい。

【知事】そうしたら、それはそれなりに東京も発言しなくちゃいかんでしょうね。異論を述べるなりですね。それから、どういう形でふるさと納税なるものを行うのかね。つまりそれは、国税として行うなら、まだ要するに一種の寄附行為で納得できないこともないけど、住民税という地方税の形でやるというのはおかしいと思いますよ。要するに、そこに住んでて行政の応益をしている、つまり利益を得ている、例えば水を水道で使っている、電気を食う、あるいは町によっては治安が非常にいいところ、悪いところ、そういった問題もね、受益者が、私は住民税を払うべきものだと思うからね。私はずっと昔、そこで生まれたから、今故郷が貧乏してるからその分をどうのこうのという、そういう形の、私、税法というのは、国がそれを考えて寄附行為としてやるなら結構ですけれどね、地方税だとか住民税として行うのはおかしいと思います、それは。

【記者】関連で、原案をまとめてる知事会のトップの麻生さん(麻生渡 福岡県知事)が再度会長に立候補されて、他に立候補する方がいなくて無投票再選されるようなんですけども、先日お伺いしたときには、前任の梶原さん(梶原拓 前岐阜県知事)とはかなり体質が違うというところで知事の評価は終わってらっしゃいましたが、改めてどういうところが体質が違うのか、知事自身は、麻生さんの知事会運営をどう見ていらっしゃるのか。

【知事】梶原さんに比べて、やっぱり国の言うこと聞いてるね。梶原さんは梶原さんでね、割と県知事の立場でいろんな主張をしようとしたけども、それに比べると、非常にマイルドになられましたな。そんな印象です。

【記者】具体的にこういうところが気に入らないみたいなことは。

【知事】まあそれは具体的には切りないね。あなた方も、そうしたらやっぱり、私の言うことを踏まえて全国知事会を傍聴されたらどうですか。

【記者】わかりました。ありがとうございます。

【記者】参院議長の扇千景さんが、今期をもって引退をするということを表明されました。知事も長年いろんなおつき合いがおありだったと思いますけれども、この引退ということについてはどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。

【知事】やっぱり年齢ということでしょう、まずやっぱり70歳(自民党の参院選・比例代表候補の公認基準:70歳未満)というね。そうじゃないの。

【記者】ご本人は、あまり年齢ということは直接は、ということをおっしゃったみたいですけれども。

【知事】ああそう。それも仄聞(そくぶん)しましたけどね。

 それから、まあやっぱり議長まで務められたんですからね。いわゆるタレント議員と私も言われましたけど、その中では、一応三権の、要するに一権の長を務められたんでね。

 まあ、政治家としては十分なことをされたという、そういう自負もおありだろうから、私は、なるほどうまいタイミングの引退だなと、心から祝福したいし、労をねぎらいたいですね。国交大臣のときもね、2人で合議して、凍結されていた外環道の凍結解除してくれましたしね。そういう点では割と、そこらの男の大臣なんかよりもずっとてきぱき物が進んでだね、私はありがたかったし。

【記者】ご本人としては、政治家人生の中で、例えば初の女性参院議長ですとか、宝塚出身の議員さん初とか、「初」という冠がずっとついて回ってというようなことをおっしゃっていますけれども、その外環の凍結のときは、知事にとっては非常に大きな思い入れといいますか、一緒におやりになった仕事という思いはおありなんでしょう。それ以外に、何か思い出話といいますか、何かありましたら。

【知事】彼女にとっての最後の選挙になったか、その前の選挙だったかな、私が知事になってからのことですから、最後の選挙になったのかな。あのとき、周りが非常に冷たかったね。彼女の属してる政党は自民党じゃなかったですね、あのときは。それで、非常に冷たかったね。僕は、だから、一生懸命応援に行きました。

【記者】すみません、もう一つあります。

 羽田空港の話なんですけれども、国際化についてなんですが、政府の規制改革会議でもそうですし、今度アジア・ゲートウェイ戦略会議というところでも、国際化に向けて、近距離の便だけではなくて、例えばホノルルの便とか、もう少し遠いところの便も需要が高いところは認めようじゃないかという方向で、今議論が進んでるみたい…。

【知事】全くその通りだと思いますね。今言ってるみたいな近距離だけというのはナンセンスだね。せめてやっぱりASEANの諸国までは足を延ばすべきですしね、そうじゃなかったら、この時代にマッチした、要するにオープンスカイというもの、そういう政策になりませんよ。せっかく羽田を、ランウエイ(滑走路)をもう一つつくって、国際化、24時間使える空港ですからね、それも活用しようというときにね、何に気兼ねしてか、何を思ってか知らんけどね、今言われたみたいにごく近距離に限るなんていうのはナンセンスだと思う。つまり、空のアクセスという、この平和な時代の経済競争の中でのね、国力の維持のための必要性というのを文明論的にわかってないばかが言ってることなんですから、本当に。

【記者】そこら辺、官邸サイドと国交省サイドでかなり意見の隔たりがあるようなんですけれども、その国交省のスタンスについては、今おっしゃった…。

【知事】これね、やっぱりね、成田の問題が絡んでて、要するに千葉県に対する、随分遠慮もあるんですよ。しかしね、そんなことをいちいち斟酌(しんしゃく)してる時代じゃないし、千葉県にはいろいろご迷惑もかけてきたけどね、それなりの、何ていうのかな、コンペンセーション(補償)と言うとおかしいけども。例えば、東京でエネルギーをセーブするための夏時間ができない理由というのは何かといったら、成田ですよ。あの騒音問題であそこが非常に鋭敏になってるものですからね、10時(午後11時)以降飛行機が離発着できない。そのためにね、日本はですね、先進国の中で唯一デイライト・セービング・タイム(夏時間)を設けられない。こういう気遣いまでしてきましたけどね、それも含めて、千葉というのもなかなかうるさい県だから、そういうことの兼ね合いでしょうけどね、それはいつまでも続くものでも続くべきものでもないし、当然羽田はもっと遠距離の飛行機を飛ばす大事な大事な国際空港になるべきだと私は思います。

【記者】賛否が分かれる赤ちゃんポストのことでお伺いしたいんですけれども、知事は赤ちゃんポストについてどのように…。

【知事】赤ちゃんポストというの、僕よくわからないんだな。

【記者】子どもを育てられないとか、さまざまな理由で、熊本県の病院に設置されたんですけれども、子どもをポストの中に入れまして、そうすると病院側がその子どもを預かるという、赤ちゃんを預かるというシステムなんですけれども、育児放棄…。

【知事】育児放棄、それともまた適当なときにお母さんは取り戻しに来るの?来ないの?要するに捨て子?

【記者】というところで批判の声もあると。

【知事】殺すよりは、それはましだろうけどね。だけど、まあ情けない時代になったと思うね、それはね。

【記者】それからもう一点、ちょっと質問があるんですけれども、知事、DC特区、以前も会見で質問ありましたけれど、この構想について説明を受けられたようですが…。

【知事】DC特区ってあれですか、要するにワシントン並みの特区に東京をするというの?猪瀬さん(猪瀬直樹 地方分権改革推進委員会委員、作家)なんかもそんなこと言ってるみたいですけどね。私はそれも1つの案になって出てくると思いますね。やっぱり、東京というものがね、集中・集積し過ぎていてね、それで、これはにわかに変わるものじゃないでしょうけどもね、別に私、特区制度に賛成ということじゃないんですよ。ただ、そういう論は出てくると思う。例えば、亡くなったけど諸井君(諸井虔 元地方制度調査会会長)がですね、そっちの座長ですか委員長をやって、私に意見聞きに来たときもその話が出ました。やっぱり、発想の一つで当然出てくるだろうな。それで、道州制、道州制と言われてますけどね、これは批判ではないんですよ。だけど、非常に親しい神奈川県の松沢君(松沢成文 神奈川県知事)なんかもね、首都圏道州制ということを考えてるみたいでね。それを成就するなら神奈川県最後の知事でいいとまで言っているけども、これ、道州制という形が進んだ結果、今の東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県が合わさった、それが一つの地方のセクターになるというのは絶対にあり得ないと思う。それは、国の中に非常に大きな同心円をつくる形になってね、そのコントロールというのはもっと難しくなるしね。私はやっぱりそういうことは、多分実現しないと思いますね。むしろそのかわりに、23区を特区にするとか、もっと違う形で、一種の天領のようなものにする。ただ、それをコントロールする首長をどうやって決めるか。ワシントンなんかは、昔は一種の勅任官だったけど、選挙制度にしたら、歴代のアフリカ系アメリカ人が市長になって、その中の1人が麻薬までやり出して、とんでもない事件がレーガンの頃起こったけども、まあ日本ではそんなことはあり得ないでしょうが。ただ、それをアメリカが最初やったみたいに勅任官のような形にしてスタートしても、政府がくるくる、くるくる替わるときに、一体どういうサイクルでその勅任官を決めるのか。政府が替わったら今の大臣みたいにくるくる替わるんじゃ、同じ政府の中でも1年で替わるんじゃね、これはやっぱりとてもじゃないけど、いかに特区としてそれを区切って小さなものにしてもね、東京の集中・集積というのはコントロールできないと思いますね、1年や2年で。まして半年で替わる大臣なんかはね、ざらにいるんだから。だから、特区化したときの首長というものを、市長と呼ぶのか知事と呼ぶのか知りませんけどね。それがどういう形で身分として保障されるのか、難しい問題はいろいろあるでしょうね。

【記者】政府の教育再生会議というところが、「親学」と言われるものについての提言をまとめる予定だったんですけれども、それが家庭内のことに立ち入り過ぎるんじゃないかということで、提言を発表することを取りやめたんですけれども、例えば子守歌を歌いましょうとか、母乳で育てましょうとか、あるいは早寝早起き朝ご飯ですとか、そういうことを提言する予定だったのを取り下げたんですけれども、知事は、例えば国としてあるいは行政としてそういうことを指導していくことについてはどう思われますか。

【知事】私は、今の子どもの教育、しつけの荒廃の原因というのはね、決して子どもの責任じゃないし、教育の制度の原因も少しはあるかも知らんけど、やっぱりそういう子どもを産んだ親としての責任の所在が非常にあいまいになってきてね。

 昨日も、ある組織の保育園の大会に出てきましたけども、そこでそこの幹部が言うことには、若いお母さんが子どもを預けに来て「うちではとてもしつけができませんから、ここでよろしくお願いします」って。そういう前提で子どもを預けられても困るということをはっきり言っていましたがね。そういう親ばかりになっちゃったんだね。ばかりとは言わないけどね。

 これはね、政府が主導して、今あなたがおっしゃった具体的なことを決めるというのはね、ナンセンスというか情けないというか。しかし、小学校になって、先生がね、ある意味では気をきかせてね、週に1回はお母さんの作ってくれた手製のお弁当を食べることで、子どもとお母さんのコミュニケーションを図りたいと思って決めたらね、昼飯つくるのが面倒くさいお母さんが子どもに何を持たせたかといったら、カロリーメイトだって。先生は唖然として、とにかく善し悪しだと思ってそういうことをやめたと言いますがね。そんな時代になっちゃったんだね。

 やっぱりね、そういうものをもうちょっとまともに直すためにどうしたらいいかということは、山崎正和(劇作家、評論家)がね、今さら道徳教育なんてしたってしようがないと投げたみたいなことを言っているけどもね。昔の教育勅語の復活なんてだれも望んでいないと思いますよ、ただ、それを全く知らなくて済むのかしないのかというのはね、これから国民的討論にさらされるべき問題だと私は思いますけども。

【記者】来週からの気候変動サミットへの出席なんですけど、そこで出席して、東京の環境都市としてのPRというのはオリンピック招致にどんなような影響があるとお考えでしょうか。

【知事】それは少しは影響があるでしょうね。しかし、そのために行くわけではありませんから。環境問題もね、IOC(国際オリンピック委員会)が候補地を決める一つの大きなアイテム(項目)だそうだから、そこで東京のやっている努力を主張しますしね。それから、かなり大きな問題でね、世界全体が水不足になってきているんですよ。この時代にね、東京は中水というものの利用というのは非常に進んだ技術を持っていますしね。それから、水道も非常に完備しているから、漏水率が東京は3%ぐらいですか。普通の国が二十数%というのは論外の話でね。東京の規模で他の国の大都市並みに24〜25%の漏水があったらね、400〜500万の都市が水の供給を受けるぐらいの水というものを他の国は漏水でむだに流しているというのは、(※)技術的にも反省すべきことだと私は思いますけどね。そんな話もしようと思いますよ。

※東京でも、50年くらい前は漏水率は20%だった。これを3.6%に減らしたことで、およそ人口250万人規模の都市の水の年間供給量を節約できた。仮に今の東京の規模で他の国の大都市並みに24〜25%の漏水があるとすれば、漏水量は、人口400万人規模の都市の水の年間供給量に匹敵する。

【記者】大都市圏の排気ガス対策を強化する自動車NOx・PM法の改正案がきょう成立したんですけれども、知事としてどのように評価していらっしゃいますでしょうか。

【知事】いや、まだ詳細を読んでおりません。ですから、こういう部分が欠けているという指摘もまだできませんしですね。詳細を読んだ上で評価しますけども。いずれにしろ、もっともっと早くできていなくちゃいけない一つの規制だと思いますね。モータリゼーションの到来というのはわかり切ってきたことだし、そういう大きな流れの中でね、大気の汚染というものは当然あり得ることだし、それに対して法律の規制も含めて、国がほとんど不作為で来たということはやっぱり反省すべきだと思うし、反省の上でそういう法律もできたんでしょうけども、それを加味したものかどうかというのは、まだ詳細を読んでいませんから。

【記者】ゴールデンウイーク中に大阪のエキスポランドでジェットコースターの死傷事故が起こりました。都内も恐らく全国で一番遊園地の数が多い、ジェットコースターの数も多いと思われるんですが、一つの問題としてジェットコースターの検査ということが、車の車検などとは異なって、何ら設けられていなかったということが事故の要因として挙げられているんですが、知事として、行政として、今後都内の遊園地に対して、そういうものの検査について何らかの指導をしていく方向で検討されるようなお考えはありますでしょうか。

【知事】いや、私この問題についても詳しくありませんがね、今ああいう、ある意味で怖い、危険とは言わないけど、乗り物をね、きわどく運行している、そのための検査も含めての条件というのは法的に決められていないんですか。

【記者】ええ、決められていないということなんですね。

【知事】ないなら、やっぱり作るべきだと思うね。それを作ることが、今度の、ああいう痛ましい事件の犠牲にこたえる最低限必要な作業だと思いますよ。ないということを聞いて驚いた。全くないの?

【記者】全くないというか、遊園地側が検査を自発的に受けていたり、もしくは、今回の事故を受けて、各遊園地に対して、どういう状況にあるのかという調べに入って、今後何らかのそういう検査機関を設けるなり、そういう許可制というか、車で言えば車検制度のようなもの、そういうことを設けられる方向も考えられるんですが、こうしている今も、各遊園地で検査などの状況を公表しながら運行が続いていて、それこそ楽しみに遊園地に行っていて命を落とすというような事故ですから。東京には遊園地もいっぱいある。遊園地というか、他の施設も含めてスリリングな乗り物が多いので。

【知事】それはやっぱり非常に大事なサジェスチョン(示唆)でね。そういう規律というものが設けられていないならね、都は都なりに条例をつくることも考えましょう。大体、人間がつくって、僕なんかが見ると、非常に無理して走らせて、とんでもない重力がある部分にある瞬間かかるわけでしょう。だからやっぱり、どんなに完備なものをつくってもね、運用、運行し出してから劣化が始まるわけだから、それは綿密に点検をする、そのタイムスパンというのは年に1回で済むのか済まないのかわかりませんけどね。それは聞いて驚きだな。当然そんな法律ってあるべきだと思うね。

【記者】知事自身はジェットコースター等にお乗りになったりとか…。

【知事】大嫌いなの。死んだ弟は好きだった。だから早死にしたんじゃないかと思うんだけども。あんな怖いものないね。ただ、僕1回ね、ある仲間の応援に行ったときに、鷲羽山だったかな、ちゃちなジェットコースターがあってね。式典だか何かが始まる前にパーティーがあって、水割り片手に乗ってね、ベルトするのを忘れたらほうり出されそうになってね。それからもう二度と乗らないことにしている。

【都職員】一応検査はやっていまして…。

【知事】言ってやれよ。

【都職員】東京都のジェットコースターを管理しているのは東京サマーランドだけで、あとは区がやっていますけれども、東京サマーランドについては年に2回探傷検査、定期検査をやっているというふうに聞いています。

【記者】自発的な検査ですよね。

【都職員】いや、探傷検査については、東京都で6カ月にやりなさいという、定期検査を6カ月ごとにやりなさいという要綱(決め)があって、探傷検査をやらせている。

【知事】まあ、しかしね、都直営の道具に限らず、都内にあるそういった娯楽施設について、都全体の管理責任の上で全部に適用する規律、条例のようなものをつくるのは私は必然だと思います。考えます、それは。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策部政策課)