石原知事記者会見

平成19年3月15日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年3月9日(金)
15:30〜15:44

知事冒頭発言

都税における東京型の「物納システム」の導入について

【知事】冒頭、私から一つ申し上げます。都のみんないろいろ工夫して、この間、パソコンを使ってのオークションが大成功して、日本中に敷衍(ふえん)していますけれども、今度東京型の「物納システム」を導入することにしました。国税である相続税には物納制度がありますけれども、地方税にはその物納制度がなくて、財産はあっても資金の足りない納税者が滞納になりがちなんですね。そこで、先般、実施して大きな成果を上げているインターネット公売をヒントにしまして、都税の納付方法の一つとして東京型の「物納システム」を導入します。有体に言って、あのインターネット公売は、時価(見積価額)よりもかなり、みんな熱くなってくれまして、かなり高い値段で売れたんで、この物納の方も、そういったものがオークションにかけられれば、どういうシステムにするか、とにかくまだ詳らかにしていませんけれども、いずれにしろ競ってもらえば、持っていらっしゃる方よりも思った以上に高く売れるということになるんじゃないかという気がしますが、いずれにしろその財産を、都民が信頼のできるオークションシステムを通じて財産を、高額かつ有利に売却することによって、納税資金に充てられるようにするものでありまして、新しいシステムを導入することによって、都民が誰でも手持ちの資産を納税資金に換えて納税することができるようになります。納税協力団体とともに早期にシステムを構築しまして、平成19年度中に稼働させる予定であります。詳しくは主税局に聞いていただきたいと思います。

 質問があったらどうぞ。

質疑応答

【記者】今日の都議会で民主党が初めて予算案に全員反対されましたけれども、これについて知事、どういうふうに受け取られましたか。

【知事】いろいろ選挙のための戦術なんでしょうな。よくわからないね。筋の通らないところがあるね。民主党の要望も入れた予算ですからね。それを反対されたり、それから東京の中の区市町村との例の交付金のパーセンテージだってご要望に応じて答えたわけですけど、それを否定するということは、自分たちが言い出したことを、各自治体は、叶って喜んでくれていると思うんですけども、否定するというのはよくわからんね。

【記者】採決の際は割れるんじゃないかという見方もありましたけれども。

【知事】ああ、民主党が。それはあなた方の情報で、結果はああだったじゃないですか。中にはいろんな考え方の人がいるでしょう、民主党の中に。ちょっと常識で考えたら、よくわからんね。筋が通らない話だと思う。

【記者】あと、すみません、知事選の関係で…。

【知事】もういい、その話は…。

【記者】他の立候補予定者が、オリンピックについて中止とか再検討とか、そういった公約を掲げている方が多いのですけれども、それについて知事はどうお考えですか。

【知事】これはIOC(国際オリンピック委員会)のコンペティション(候補都市の選定)にまず勝たなきゃしようがないんですけど、それまでは政府の協力とかギャランティー(保証)も要るでしょう。それをするのが面倒なのか自信がないのか知りませんがね、都民に意識調査しても75%ぐらいの人がやろうじゃないかと言ってくれているので、私はその意識を背景に頑張れば、成就することができると思っていますけども。まあいろんな考え方があるでしょう、人によって。

【記者】知事選に絡んでお伺いしたいんですけど、今日で一応都議会が終わりまして、いよいよ知事選に向けて本格化していくかと思うんですけれど、知事の現時点での意気込みをお伺いしたいんですけど。

【知事】政治家というのは妙なものでね、選挙が目の前に迫ってくると勇気が出るんですよね。エネルギーが出てきてね。やっぱり一種の勝負だからね。まさに阪田三吉の「王将」の歌じゃないけど、明日東京に出ていく限り、行った限りは勝たねばならぬ、そのつもりでやっていますよ。ただ、やっぱりいろいろ状況が違うんで、大分バッシングされてきたし、必ずしもそう安閑としていられないと思いますから、それなりの戦略をあれしてね。まあ、いろんな意見がありました。でも、今度ちゃんとした軍師を迎えて、私もそれでいこうということで、まあ、これから大分先のことですけども、やります。

【記者】その関係で、ちゃんとした軍師をというふうに…。

【知事】軍師、いや、アドバイザーというかな。いろんなアイデアが出たんだけど、まとめる人間をきちっと据えてですね。どうも今までの選挙というのは、ちょっと僕のパワーに頼り過ぎてというのはおかしいけども、とにかくストレートで攻めてましたけどね。今度はなかなかそれだけで済まないと思うから、やっぱり新しい攻め方というものを考えにゃいかんと思ってますから。

【記者】きょうの本会議で、政調費の領収書の添付に関して先送りになりましたが、そのことに関してはどのように…。

【知事】これはやっぱり議会が決めることでしょう。それから、やっぱりそれを受けて、2年先に選挙もあることですから、都民が決めることでね。あれ、国会議員のとき、どうなったのかなあ。国会議員にはやっぱり政務調査費ってあるはずだけども、僕は覚えてないですね、あれ(※)。やっぱり傍から見ても、わかりやすくした方がいいと思いますよ、それこそ。

※政務調査費は、地方自治法に基づき地方議会の議員に対して支給される調査研究のための経費。

【記者】現状については、そのわかりやすい、わかりにくいというのは、どのように感じていらっしゃいますか。

【知事】いや、僕は自分自身がその対象じゃないから、よくわかりませんね。で、幾らもらっていらっしゃるか知らないし。

【記者】知事選でも、その情報公開についても1つの焦点になると思うんですが、その政調費に関しても、その情報公開の一つとして、知事選でも議論になると思うんですが、ご自身の考えとしては、政調費の領収書の添付もしくは公開に関しては…。

【知事】それはわかりやすくした方がいいと思いますね。しかし、情報公開ってものはやっぱりいろいろ限度があるんでね。別にここで浅野君をいろいろ批判するつもりはないですけど、宮城県での警察の、要するに調査(捜査)の経費ってものを「全部透明にしろ、開示しろ」と言ったら、これは警察の捜査に非常に齟齬(そご)を来しますね。現に、宮城県は検挙率が下がりました。皆さん知っていらっしゃると思う。やっぱり不安を感じている人はいますからね。「開示、開示」と言ったって、やっぱり大事な事件の捜査に刑事さんがいろんな形で聞き込みをする。そのときに、お金が要る場合だって当然あるでしょう。職質するだけでなくて、かかることだから。それを全部開示するということは、ある意味、非常に危険だとも思うし、大事な治安にも影響してくると思いますよ。それからね、東京の情報開示の透明度云々、予算委員会で問題になりましたが、やっぱりそこらの県と言ったら申し訳ない、他の県と一緒にしてもらうと困るんだね。これはボリュームが違うんですよ。東京に、要するに、「お金をとっているから論外で、失格だ」と言われたけど、これは都民の税金で、とにかく一々開示にこたえるといったら、かなり手間暇がかかるんだ。それで、55%は県外(都内在住者以外)の人でしょう、都外の人ね。その人たちも、調べてみると大体東京での仕事を狙っての展開とか参入というものについての素材として、それを必要としていらっしゃるから、向こうの商売の手助けをただで、要するに、都民の税金を使ってやるわけにいかんでしょう。それをもって「有料としている」と言ったら、「それは基本的に話にならん、失格だ」と言われても、これはちょっと失格という認定を別に司法がしているわけじゃなしに、市民の有志がオンブズマンでやっていることですから、これは主観の違いということで、私は、ちょっととんちんかんだと思いますよ。

【記者】最後に、23区全てが領収書の添付を義務づけたんですけれども、本体の都は、まだ今回、それを先送りしたわけですけれども、それについてはどう思いますか。

【知事】これはやっぱり時代というものをちゃんと眺めて、都議会の人たちが冷静に対処すべきだと思います。

【記者】冷静に対処というのは。

【知事】いや、だから、要するに、もっと透明性を増すように努力をすべきだと私は思います。

【記者】今度の知事選からビラ配布が認められるようになったローカルマニフェストについてのお考えをお聞かせください。マニフェストのビラ配布が認められるようになったんですが、現時点で知事がどうお考えになっているのか、どういった形で出されることになるのか。

【知事】いや、それはまあ、自分の手の内も明かすことになるからね。

【記者】明かさなくても…。

【知事】結構だと思いますね。ただ、どういうのかな、ビラを配って、すぐ捨てられるんじゃしようがないんで、やっぱり工夫を凝らして、印象に残るような、そういう主張というものをしてみたいな、したいなと思っていますけども。

【記者】マニフェスト自体を候補者が出すことについては、どう思われますか。

【知事】マニフェストというのを、君、古い言葉で、何かこのごろ、どこかの知事が言い出して、さも新しいみたいに勘違いしてるけど、あんなもの実存主義の時代から言われていることで、要するに、主張ということでしょう。英語に言いかえただけで、どんな議員だろうと、どんな首長だろうと、選挙に出るときに主張なしに出る人はいないわけだから、公約というか政策、プロパガンダ、昔はプロパガンダとも言ったけどそれは誰でもやることですし、それの機会が紙という形で増えるのは結構だと思いますよ。

【記者】ありがとうございます。

【記者】今日、本会議の後の会派回りで、知事、民主党の前を素通りしましたけれども、これはどうしてですか。

【知事】他のね、副知事さんはそりゃ仕事があるけど、私はあれだけ個人的に面罵されてだね、それほど私は寛容な人間でもないですなあ。議会の場だからしようがないけどね、言っていること全部筋違いだし、向こうの思惑でね。それで僕がにこにこ笑って握手するわけにはいかんだろう、それは。言ってることは間違いだと思いますよ、私は。思惑で。しかもね、ネガティブキャンペーンのレトリックだから、私にしたら笑止千万だけど、怒鳴り返して、予算委員会で怒鳴り返したら声が少しよくなってきたけどさ。

【記者】知事選なんですけれども、まだはっきりしてないようなんですが。

【知事】これからのこと聞くなよ、もう。

【記者】弁護士の丸山和也さんというのは、知事は御面識はおありでしょうか。

【知事】知らない。

【記者】テレビによく出ている弁護士の方なんですけれども、その方が出馬の意向がおありなようで、まだはっきりとどうするかは決めていないみたいなんですけれども、昨日から今朝にかけていろいろと関心が集まっております。

【知事】いやもう選挙は百花繚乱の方がいいよ。

【記者】丸山さんというのはテレビで…。

【知事】知らないよ、余り。テレビよく見ないから。

【記者】そうですか。候補がだんだん増えてくるということについては。

【知事】え?

【記者】候補者が、だんだん次々といろんな人が…。

【知事】いいですね。百花繚乱というのはそういうことですよ。

【記者】先ほど、マニフェストのところなんですが、今、横文字にしただけという話がありましたけれども、私どもの理解だと、数値目標を盛り込んで、後々からその政策が実現できたかどうかを検証可能にしているのがマニフェストという、それをちょっと、まだ日本語にできてないところもあるのかもしれませんけど、というものだと思うんですが、今回の選挙に関して、知事はそういったものを準備されてはおるんでしょうか。

【知事】ですからね、選挙に関わりなしに、前から近未来の東京はどうなるかと言われてたから、「10年後の東京」で、ああいうくくり方もよくないんだよ。もうちょっとうまいコピーライトは要ると思うんですけどね、そういう近未来像を作りましてね。だから、緑をどれだけ増やすとか、街路樹を倍にするとか、ちゃんと本数が入っていますしね、緑の面積も入ってますけどもね。その他この他あって、もう実際にやりかけてることもあるしね、予算に計上してる分もあるわけでしょう。初めてやることですけども、例えばウイルス性肝炎なんかの、要するに経済援助なんかも言っていることですからね、それも予算に今度計上してますしね。それはもうマニフェストですよ、まさに。それで、どれだけの効果があったか、よかったら倍に増やしてくことになるだろうしね、その新しい制度の評判というんですか、評価を受けて、もっとそれに積極的にアクセルを踏むとか。それはやっぱり、現職だから、やっぱりマニフェストは毎年やってるわけだと思うし、予算そのものが私はマニフェストだと思いますよ。それがやっぱりどれだけ有効に使われたかどうかということを検証するためにはね、今の会計制度はだめですからね。だから、包括外部監査も入れてね、それで新しい会計制度にしたわけですよ。あれで初めて決算というものの意味が出てくるわけでね。そういうことです。ですから、あなたがおっしゃってるマニフェスト、よくわからない言葉だけども、数値目標を掲げて、どれだけ達成されたかということを図るメジャースティックというのは、あるようでなかったんだ、今まで。だから、今度の会計システムだと、それはもう歴然としてね。だから、マニフェストを言い出したのがだれか知らんけど、その件でも、東京を真似して、東京と同じような会計制度を採用した方が、マニフェストの検証というのはもっとスムーズに正確にいくと思うな。はい、どうも。

(テキスト版文責 知事本局政策担当 細井)