石原知事記者会見

平成19年2月9日更新

石原知事定例記者会見録

平成19(2007)年2月2日(金)
15:02〜15:24

知事冒頭発言

1.東京マラソンについて

【知事】冒頭、私から三つほど申し上げます。まず、東京大マラソンでありますけども、いよいよ開催日の2月18日が迫ってきました。この大会の特徴は、ランナーの規模や制限時間ばかりでなく、最新技術の活用などによりまして、走る方だけではなくて、眺める方も聞く方も、最新技術を活用しまして、これまでのマラソン大会のイメージを変える大イベントを実現していこうと思っていることです。例えば、ランナーがICチップを靴などに装置することによって、ご当人だけではなしに、家族の方とか友人が、パソコンや携帯電話で5キロごとの通過タイムを確認できるサービスを提供します。(靴を示す)この靴のここについてるICタグですね。これが5キロごとの地点の通過をちゃんと時間を計算して記録していく(※)。

※ICタグを使って5キロごとの通過タイムを計測する。パソコンや携帯電話にアクセスすれば、全てのランナーの通過タイム等の情報が得られる。

 だから、自分もどういうペースでどれだけの距離をどこまで走ったかというのが分かるわけでして、東京ではないんだろうけども、今までもそういうマラソン、いわゆる市民マラソンではね、途中抜けて、電車に乗って先行って走るような人もいないでもないらしくて、昔のオリンピックは特にあったみたいですけど、そういうことは一切できませんから。これによって、応援する方々も、地下鉄などを使って途中の応援ポイントやフィニッシュ地点で自分が応援している身内のランナーを的確に出迎えることができるようになります。

 また、日比谷公園のイベント会場では、都のベンチャー技術大賞の奨励賞を受賞しました、骨ですね、骨伝導式のヘッドホンを使いましてね、これは聴覚に障害のある方も、ボランティアによる実況中継を聞いたり、周囲の応援の雰囲気を体感することもできるようにしました。さらに、視覚障害のある方もね、ラジオを持って展示ブースに近づきますと、音声情報を聞くことができるようにするなど、障害者も参加しやすいさまざまな工夫を凝らしております。

 もう一つ、特筆は、この東京マラソンには、1万人のボランティアが大会の運営イベントに参加する予定であります。これは、募集しましたら、もう嬉しいことに、たくさんの方々が応募してきた。3,000人の方はお断りしたという実態でありますが(※)、いずれにしろ3万人ものランナーが走る大規模な大会で、ランナー、観客あるいはボランティアと、これほど幅の広い人々が一体になって参加できるマラソン大会は、日本でただ一つだと思います。沿道やフィニッシュ地点では、伝統芸能や大道芸、サンバ、おみこしなど、華やかな応援イベントを実施するので、多くの都民の皆さんにも、東京大マラソン祭りを楽しんでいただきたい。

※業務量増加分や予備要員として配置数をふやすことで、ボランティアを合計12,709名配置したため、279名についてお断りすることとなった。(先着順)

 先日やりました知事と討論するビッグトーク(東京ビッグトーク:平成19年1月31日実施)で、高橋Qちゃん(高橋尚子:マラソン選手)を育てた小出(義雄)監督がね、あの方に、私、言われて、「何とかとにかくマラソンランナーに銀座を走らせてもらいたい」というので、「なるほどな」と思ってやっと実現したんですが、小出さん、またいろんな面白い意見というんでしょうか、これから起こるマラソンの解説などを聞かされたんですけどね、とにかく遅い人は7時間かかって走るわけだから、7時間までは警察も協力してくれるので。7時間、やっぱりね、走ったり歩いたりすると疲れますわな。それで、要領がね、あの会場にいらっしゃれなかった方で参加する素人のランナーに、これをついでに申し上げますとね、へとへとになったらだめだ。その、「ああ疲れてきたな」と思うときに立ちどまってね、ぶらぶら歩いたりね、それから整理体操をしたりすると、また活力が出てくるんでね。へとへとになってからでは幾ら頑張ってもだめなんです。それから、そういう人たちのために、7時間走るわけですから、途中、屋台なんかを設けましてね、おでん食べたり焼き鳥食べたりしながら走り続ける。そういう便宜も提供いたします。

2.東村山市本町地区プロジェクト第一期住宅の竣工について

 次は、東村山市の本町地区のプロジェクトでありまして、これは前にも申しましたがね、私、住宅の流通を調べましたら、かなり中間搾取がある。それで、そういうものを排除するとね、住宅がかなり安くなるはずだという確信がついたので、言ってみると、東京は東京自身が工務店になりまして、大工さんを集める、水道屋さんに声をかける、左官屋さんを呼ぶという形でね、直接手を染めて住宅をつくってみようということで。広くて質が良くて安い戸建て住宅の提供をやってみましたが、このプロジェクトの実証実験で、第一期住宅が2月10日に竣工いたします。住宅の本体工事費については、都内平均価格よりも3割安い、坪50万円以内とする目標を達成できました。その結果、70年間の定期借地権でありますけれども、建物面積が40坪ほどの戸建て住宅が3,000万円前後で提供できるようになりました。これはですね、また一種の価格破壊だと思いますね。現にそれが伝わって、候補地でない周辺の土地でも、地域でも、新しく住宅を建てる人たちが、この実例を見て要求すれば、建てる側も、横目で東京都の実験を見て参考にせざるを得ないという形でね、価格破壊が進んでいくでしょう。それは非常に好ましい結果になると思いますけども。とにかく、広さも十分ですが、長寿命化や省エネルギー対策、多摩産材などの自然素材の活用、電線の地中化など、質の面でも高水準を確保しております。低価格でも必要な耐震性能を確保した今回の住宅は、木造(住宅)密集地域などの耐震化を促す上でも参考になると考えています。いわゆる木密(木造住宅密集)地帯、これはもう、耐震性、対災害などで、その性能ということでいろいろ問題になっていますけども、こういう実例を示せば、ある人たちは、「それならとにかく耐震性のある建物を建てようじゃないか」という気になっていただけると思いますし、いろんな引き金になると思いますが。今回の成果を足がかりに、住宅市場の構造改革をより進めていくことによりまして、狭くて高い東京の戸建ての市場を一変させることができると思いますし、東京を安全で住み心地のいいまちへと生まれ変わらせていくこともできると思います。2月10日の竣工式には工務店の社主(のような立場)として、私も竣工式に出向いていきます。自分の目で確かめてくる予定なので、ぜひ多くの、これから住宅を持ちたいという都民の皆さんにもぜひご覧いただきたいと思います。30%、住宅は必ず安くなります。

3.「知事交際費」の改善策について

【知事】続いて、いろいろ問題になっている知事交際費の改善策ですけども、新たな政策の立案、実験や懸案などの解決のために、必要かつ適切な人物と会い、専門的な知見を得たり情報収集することは当然のことですし、またそれがなくては合理的に行政を進めるわけにいきません。他のセクター、特に国との関わりもそういうことですが、ただ、相手との信頼関係を維持するために、また政策形成に支障を生じさせないために、明らかにできない部分はあることも否めませんが、こうした会合を含めた取り組みは、後々実を結んで都政に生かされてきたと考えています。今回の判決は、こうした都の主張の多くが受け入れられたものでありました。ただ、5万円と30いくつ(約35万円)ですか、合わせて40万そこそこの額が問題になって、これはまあ控訴いたしますけども、これも私は都のために持った会合であるので、私なりの所信というのは持っていますけども、それは控訴の過程で披歴いたしますが、私が知事になって、「交際費の無駄遣いが増えた」と言われてるようですけど、絶対にそういうことではありません。これは、鈴木(俊一)知事、青島(幸男)知事のころの交際費の年間平均支出額というのを比べていただければわかることで、以前は、慶弔費、お祝いとか弔問ですな、そういった儀礼的な支出が多かったとも聞いていますが、現在は、そういうことよりも、都の政策形成に役立つような使い方をしておりまして、平均支出も、かつての時代に比べて2分の1から4分の1になっているはずです。これまでも適正に支出を行ってきておりますけども、いろいろ誤解を招いているようなので、改善すべきは改善して、今後は透明性の向上を徹底して図ることにいたします。具体的には、知事交際費の執行状況をホームページで全面公開しますし、ただし、これまでの相手方の了解を得ていないこともあり、公開は2月分からといたします。公開の具体的な方法については報道官から説明いたします。

 私から申し上げることは以上です。質問があったらどうぞ。


質疑応答

【記者】大気汚染訴訟のことなんですけれども、国が原告との協議に応じる意向だということで、ただし、排ガス規制などの環境の関係だけで、医療費助成には否定的、このことについて知事はどのようにお考えですか。

【知事】これはですね、一種の言い逃れだと思いますね。公害対策は裁判とは本来関係なくて、国が当然やらなくちゃいけないことだと私は思います。つまり、その根底になる文明批判というものがなかったから。繰り返して申しますけれども、モータリゼーションの到来は自明のことですしね、そういったものを勘案して環境問題を考えてこなかった。それはね、私は、実は、水俣(病)ですね、環境庁(長官)をやっているときに痛感いたしましたけども。ということで、国はですね、国の不作為の責任というものを十分考えて、やっぱりこれに対処すべきだと思います。

【記者】原告との協議には応じるというようなことなんですけれども、これは一歩進んだということになるんでしょうか。

【知事】協議っていっても、いろんな協議、原告側の要求もあるでしょうからね。原告側の要求というのは補償ということでしょうから、私は、やっぱりその問題に触れてこない限り、その話し合いが話になると思いませんけどね。

【記者】それから、もう1点、柳沢厚生労働大臣の「女性は産む機械だ」という発言についてなんですけれども、この発言について知事はどのように思いますか。

【知事】まあ、人の言ったことだしね。それから、やっぱり前後の文章を読むとね、何か話しながら、そう言っちゃ何とか、「ごめんなさい」とか言ってるんでね。要するに、例えの仕方が悪かったし、彼は彼なりにね、要するに、「男には子供を産む能力がないんだからね、女性一人が結婚されたら、できるだけお子さんをたくさん産んでほしい」という要望を、ちょっと短絡的に言い過ぎたんじゃないかと思うけども。その責任の所在については、やっぱり国会が決めることですから。

【記者】先ほどの知事交際費の開示についてなんですけれども、情報公開については、知事の初当選時からの公約の1つでしたし、ちょうど2年前の記者会見でも、インターネットで開示を検討するとおっしゃっているんですが、どうしてこんなに時間がかかってしまったのか、その理由をお聞かせください。

【知事】それは要するに、瑣末(さまつ)とは言いませんけどね、これはもう事務方がたくさんいるんでね、そこまで私、目を通せませんし、そのための特別秘書もいるんですからね、そことの話し合いでその識別というのは当然してくれるというふうに思ってましたけども、こういう事態になって非常に私自身も残念ですし、反省もしてますけども。だから、もっと緊密に。私がいちいち回ってくる伝票に目を通すわけにいかんでしょう、それは。だから、「この会合はどういうものですか」と言われたら、「こういうものでした」と説明して、あとは事務方がそれを酌量してくれればいいんだよ。その判断にご不満の方もあったみたいだから、訴訟ということになったんでしょうけども、11件のうち2件だけが注意を受けた。これも、私たちは、こちら側にはこちら側の言い分もあるので、一応控訴しますけども。ということですよ。

【記者】2年前に開示するとおっしゃって、そのときには事務方に指示したんだけれども、事務方がその後サボったということなんでしょうか。

【知事】いや、それはわかりません。事務は事務で一生懸命やってるでしょうし、事務方も変わりますしね。だから、私と特別秘書を通じての、何ていうのかな、この問題に関する意思の疎通が必ずしも円滑にいってなかったので、つまり、こういう誤解というか、不本意な結果が生じたんでね。要するに、この問題で訴訟というのは初めてのことですから、やっぱりこれをもって手綱を締め直して、都民の要求に応え得る、誤解を解くための十全のことをしようと思ってますけども。

【記者】知事、今度、青梅マラソンのスターターに初めて行かれますけれども、この話が決まった経緯について聞かせてください。あと、東京大マラソンと青梅マラソンの日程のバッティングで、当初、地元の反発なり戸惑いなりもあったようですが、それについてはどう考えていらっしゃるでしょうか。

【知事】これはね、別に責任転嫁するつもりはないんですけどね、こういうことは私たちも素人ですしね、初めての試みなので、陸連なんかとも当事者が随分連絡とったはずですが、陸連は直接青梅マラソンにかんでいないのかな、「どうぞやってください」ということで、私たちも、あいてる月ですからね、この2月に決めましてね、それで青梅の方から苦情も出ましたので、やっぱり時間もずらすのと、向こうはフルマラソンじゃないんでしょう。ハーフマラソンでしょう(※)。

※青梅マラソンの参加種目は30キロメートル及び10キロメートル

 そういうこともあってね、一つプレランという意味も持つんじゃないかと思って週をずらして、同じ月に開催することになりました。この了解は十分話し合って得てると思いますけども。それで、やっぱり東京マラソンも含めてね、両方出るっていう人も随分いますしね、それから、やっぱり一つのプレオリンピックのイベントとして毎年成功させていかなくちゃいけませんから、そのためにも、青梅市も含めて、青梅に参加するランナーも含めて、いろんな協力もいただきたいし、そういうことで、仁義を切りに私も参りましてね、青梅マラソン、伝統のあるレースですから、体感してきたいと思ってますけども。

【記者】大気汚染訴訟に話は戻るんですが、国の案では、環状7号線を1車線つぶして緑地帯にするというような話もあるんですが、現実的に、例えば渋滞との兼ね合いとかで知事はどう思われますか。

【知事】そんなばかなこと、東京の事情を知らないやつがね、役人がね、自分のセクションを抱えた上で言うことでね、そんなもの通用するわけないですよ。そんなことする前にだね、国がその気になって、首都というものの重要性を考えるなら、ペンディングになったね、大体、環境問題の前から問題になってるのに、凍結されてた外環道路を何で、要するに、環境の方から言い出して解除させないんですか。それから、圏央道だってね、この2つの環状線ができたらね、東京の環境というのははるかに良くなるわけですからね。だからね、ペットボトルのすすを見せて、これを減らそうと言ったけど、大分減りましたよ。だけど、もし二つの環状線がとっくにできてたら、あんなものはもっと、ディーゼルガス対策をしなくたって減ってただろうしね。これからますます、それに加えてね、環7をいじるよりも、二つの環状線を完成する方を急いだら、東京都の、東京だけじゃない、東京圏の大気の環境というのははるかによくなると思いますよ。そういう末しょう的なね、小手先の、目先のことをいじることで大きな物事を糊塗(こと)しようと思ったってだめよ、そんなものは。それこそメディアが頑張ってだね、「ばかなこと言うな」って言ってくださいよ。

【記者】関連で恐縮なんですけれども、大気汚染訴訟で、原告側は補償と謝罪という話をしておりますけれども、都としては、現行の新たな救済制度以外に、補償もしくは謝罪の観点から話し合いをするということはあり得ますでしょうか。

【知事】いや、謝罪ということなのか知りませんが、東京の大気汚染というのはね、私自身も実感してきたしね、自分の孫なんかのアトピーとか小児ぜん息を見てると痛感してるわけですからね。だから、つまり、決してセルフィッシュ(利己的)なモティーフ(動機)だけじゃないけども、そういう経験を通じてね、やっぱりこれは変えなきゃだめだということで、トラック業界にも頼み、石油業界にも頼んであのディーゼルガスの排気規制をやってきたわけですよ。それでかなり改善されたでしょう。モニタリングポイントでは松原橋もクリアされたと思うけど、年間、要するに、基準値を上回るポイントがなくなった。しかし、それでもなお、12万本あったあのすすが半分ぐらいになったけども、まだ減ってないわけでして、こういったものをやっぱり徹底することが、私は患者さんに対する1つの償いであると思うし、謝罪というか、要するに償いだと思いますね。

 やっぱりね、国がその気になってくれないと、本当に。何で首都圏でやって正しかった、結果がよく出たことが、大阪とか他の地域で起こらないんですか。もっと東京よりも過密な、汚染された大都市ってたくさんありますよ。そこで同じ訴訟が起こったらどうするんですかね。本当、おかしいと思うね、国は。はい、それじゃ。

(テキスト版文責 知事本局政策担当 細井)