知事の海外出張

平成22年3月11日更新

ソウル出張の概要・成果

 東京都は、世界で最も環境負荷の少ない都市をめざし、カーボンマイナス東京10年プロジェクトを推進しています。
 昨年10月には、世界32の大都市の参加を得て、「C40気候変動東京会議」を主催し、13の「共同行動」に合意するなど、地球温暖化対策について世界の都市間の連携を推進してきました。
 この度、石原知事は、ソウルで開催された「第3回世界大都市気候サミット」に出席し、東京会議の成果を更に発展させ、本年12月にデンマーク・コペンハーゲン市で開催されるCOP15に向けて大都市が連携して、気候変動対策を推進できるよう強くアピールしました。

◇出張の主な目的

(1) ソウル市長からの招へいを受け、当地で開催される第3回世界大都市気候サミットにパネリストとして参加することにより、東京都が環境先進都市として地球環境問題に先導的に取り組んでいることを世界の都市へ広くアピールする。
(2) 世界各都市の首長と地球環境問題について意見交換をし、また、ソウル市の取組例の視察などを通して、世界で最も環境負荷の少ない都市をめざす東京都として、世界の大都市との連携をより一層深める。

◇出張概要

  ○期間 平成21年5月18日〜5月21日
○目的 第3回世界大都市気候変動サミット出席
○出張人数 15名
○総経費 6,748千円

◇出張先での主な行動と成果

・5月18日(月)
 ソウル到着直後に、慶熙宮で開かれたウェルカムディナーに参加し、各首長と歓談しました。

・5月19日(火)
 午前中に行われた総会1「気候変動と経済危機」では、石原知事のほか、国連HABITATのアンナ・ティバイジュカ事務次長、ロンドン市のボリス・ジョンソン市長、サンパウロ市のジルベルト・カサビ市長、北京市のホアン・ウェイ副市長が出席し、世界的経済危機を踏まえ、低炭素技術や地球温暖化対策を新しい経済機会や雇用の創出にいかに結びつけるかについて、各人から発表があり討論が行われました。
 知事は、温暖化の危機を目前に、全ての国がCO2削減のための国際的枠組みに参加するよう、参加各都市が自国政府に働きかけるべきことや、東京会議で合意した13の共同行動のように具体的な行動を実践していくことの重要性を強く訴えました。
 また、環境対策が技術革新や経済再生に結びつくためには、明確な社会的仕組みが必要と訴え、東京の取り組みとして、昨年の条例改正により2010年度よりオフィスビルをも対象とした都市型キャップアンドトレード制度を導入して、大規模事業所に総量削減義務を課すことや、技術の普及という観点から、ベンチャー技術大賞を創設して優れた技術を発掘するなど、動きの鈍い政府に代わって先導的な取り組みを行っていることを紹介しました。
 知事は、「人は死が不可避でありながら己の死には無頓着なように、温暖化の危機についても根拠のない楽観がある」として、今この刻刻と、いかに危機が進行しているかを具体的に示し、人類の危機を後世に残さないようにすることが自分たちの責任であることを訴えました。
 午後は、ボリス・ジョンソン市長、コペンハーゲン市のリット・ベジャレガード市長やCCI(クリントン気候イニシアチブ)アイラ・マガジナー会長とそれぞれ会談を行い、知事からは、都市の主張が各々の国の施策に反映されるべきこと、東京会議での共同行動のような具体的な行動を進めていくことが重要であることなどを改めて述べるなど、幅広い意見交換を行いました。
 このほか、COEX(ソウル市展示場)で開催中の気候変動展を訪問し、東京都が出展するブース(環境やカーボンマイナス・オリンピックなどの展示)などを視察しました。
 さらに、知事は、2005年に完成し、ソウル市の歴史、文化、環境を蘇らせたチョンゲチョン川(清渓川)復元事業の現場をつぶさに見学しました(この川は、かつて高速道路などによって覆蓋されていましたが、構造物の老朽化と道路からの排気ガスなどによる環境悪化が著しいため、ソウル市が2003年7月より2年3ヶ月をかけて道路を撤去し、せせらぎを復活させたものです)。
 視察後、C40運営委員会に委員として参加し、COP15に向けた準備や次期2011年のサミットなどについて討議しました。
 夜は、李明博韓国大統領が招待した青瓦台での大統領主催晩餐会に出席し、参加都市の首長らと歓談しました。

・5月20日(水)
 知事に代わって、猪瀬副知事が総会3「効果的な適応策」に出席しました。ここでは、副知事のほか、シドニー市のクローバー・ムーア市長、イ・ビョンウク・韓国環境省副大臣、ジュアン・ア・ニエト・エスカランテ・ボゴタ地域環境担当政策顧問が出席し、それぞれの立場から、温暖化の影響を回避するための適応策について発表があり、ディスカッションが行われました。
 副知事は、東京会議の趣旨と実績を報告するとともに、低炭素社会を実現するには、低炭素型の製品をつくることが大事であり、そうした技術を都市が発掘し、ビジネスに結びつけることが重要であると訴えました。
 その具体例として、東京都が実施しているベンチャー技術大賞の取り組みから、受賞した環境技術について冊子を配布して紹介しました。また、現場からの「カイゼン(改善)」事例として、下水道管からの漏水を小さいパイプのついた鉄の板で応急措置を施す都職員提案を紹介しました。公営企業にインセンティブを与えるためにも、こうした提案を取り入れていくことの重要性を訴えました。
 その後、パリ市のデニス・ボーパン副市長と会談を行いました。副市長は、副知事が総会3で発表した具体的な環境技術に強い関心を示し、技術革新を促す取り組みの重要性やパリ市が進める「ベリブ」というレンタル自転車などについて意見を交わしました。
 このほか、副知事はチョンゲチョン川(清渓川)を視察したほか、ビジネスのハブを目指して進められている、インチョン市(仁川市)の臨海部にある広大な埋立地を再開発するソンド(松島)地区を視察しました。
 視察後、ソウルサミットの全体総会に出席しました。締めくくりとして、ソウル市のオー・セイ・フン市長からソウル宣言が発表されました。

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